システムキッチンの取り付けはDIYでできる?失敗しないための判断基準と業者依頼のメリット

新しいシステムキッチンを取り付けるとき、「自分でやってみようかな」と思う人は少なくありません。ネットや動画でも方法はたくさん紹介されていますし、道具もホームセンターで手軽に手に入ります。ただ実際には、設置は想像以上に大変な作業で、失敗すると生活に支障が出たり、修理に余計な費用がかかったりすることもあります。とくに給排水の接続や水平調整、壁や床との隙間処理などは、見た目以上に慎重な作業が必要です。DIYには魅力もありますが、無理をするとかえって損をするケースもあります。だからこそ、自分でできること・プロに任せた方がいいこと、その境目を見極めることが大切です。




DIYで取り付ける手順と必要な道具

システムキッチンを自分で取り付ける場合、まず確認すべきなのが寸法と設置場所の状況です。既存のキッチンを撤去し、壁や床の状態を整えてから新しいキッチンを据え付けます。その後、給水・排水・電源・換気の接続を行い、最後に扉や引き出しなどの建具を調整します。どの工程も丁寧さが求められ、ちょっとしたズレが全体の使い心地に影響します。


必要な道具も多く、電動ドライバー、レベル(水平器)、シリコンガン、モンキーレンチ、パイプレンチなどが揃っていなければなりません。また、壁への固定にはしっかりとした下地が必要で、強度が足りなければ補強工事も考える必要があります。ガス機器を使う場合は、資格を持つ業者でなければ配管接続ができないため、この部分は必ず専門業者に任せなければなりません。


さらに注意したいのが「組み立てたあとの微調整」です。引き出しがうまく閉まらない、扉が傾いているなど、小さなズレをそのままにすると使いにくさや不具合の原因になります。図面どおりに取り付けること以上に、現場での細かな調整力が問われる作業といえるでしょう。




DIYで起こりやすい失敗とそのリスク

DIYでシステムキッチンを取り付けた場合、最も多い失敗は「水平が取れていない」というケースです。キッチン台が傾いていると、引き出しが自然に開いてしまったり、排水がうまく流れなかったりと、日常の使い勝手に大きく関わります。とくに最近のシステムキッチンは収納力が高く、重さもあるため、傾きがあるとすぐに不具合が出てしまいます。


次に多いのが「給排水の接続ミス」です。パッキンの入れ忘れや接続不良により、設置後しばらくして水漏れが発生することもあります。床下に水が染み込めば、カビや腐食の原因となり、最悪の場合は床の張り替えが必要になることもあります。こうしたトラブルは施工直後には気づきにくく、数日〜数週間後にじわじわと影響が出ることもあり、自己責任での修理はかなりの負担になります。


また、壁面とのすき間処理や見切り材の設置も、慣れていないと仕上がりが雑になりがちです。結果的に、完成したものの見た目が悪く、プロに手直しを依頼することになると、余計な費用がかさむこともあります。手間と費用を抑えたつもりが、結果的に高くつくこともあるため、無理なくできる範囲を見極めることが重要です。




業者に依頼する場合の流れと費用感

システムキッチンの設置を業者に依頼する場合、まず行われるのは現地調査です。キッチンのサイズや設置スペースの寸法、床や壁の状態、既存の配管や電気設備の確認など、細かくチェックしたうえで見積もりを出してくれます。調査から見積もりまでは無料で行う業者も多く、契約前にしっかり内容を確認できるのは安心材料の一つです。


契約後は、解体・撤去から新設、仕上げまでの作業が数日で完了します。設置だけでなく、給排水や電気の接続、換気ダクトの設置まで一貫して対応してくれるため、仕上がりの質も安定します。とくに水道・電気・ガスの接続は専門的な技術や資格が必要であり、自分でやるには危険も多いため、プロに任せることでトラブルを防ぐことができます。


費用については、商品本体とは別に設置工事費が10万〜20万円前後かかるのが一般的です。床や壁の補修、給排水の位置変更などがあると、さらに数万円加算されることもありますが、そのぶん「やり直しのリスクがない」「保証がある」など安心できる要素も大きいです。多くの業者はアフターサポートも用意しており、万が一不具合があってもすぐに対応してもらえる体制が整っています。


時間と手間をかけず、確実に仕上げたい場合は、費用をかけてでもプロに依頼する価値は十分にあるといえるでしょう。




DIY向きか業者向きか判断するチェックポイント

すべての人にとって業者依頼が正解というわけではありません。DIYでの設置に向いているかどうかは、「手先の器用さ」だけでなく、「道具が揃っているか」「構造の理解があるか」「一人で設置できる重量か」など、いくつもの要素で判断する必要があります。


たとえば、これまで家具の組み立てや日曜大工を頻繁に行っており、住宅の構造や水平出しの知識がある人なら、一部の工程を自力で行うことも可能です。ただし、配管・電気・ガスといった専門性の高い部分には絶対に手を出さないこと。仮にうまくいったように見えても、接続不良があると後から水漏れや感電、火災などにつながるおそれがあります。


一方で、「そもそも工具をほとんど持っていない」「時間に余裕がない」「家族と住んでいて失敗できない」という人は、迷わず業者に依頼すべきです。また、リフォーム全体のバランスや美観を重視する場合も、プロの目と手が入ることで完成度が高くなります。


判断に迷ったときは、「失敗した場合に、どれだけ生活に支障が出るか」「やり直しにどれだけ費用と時間がかかるか」を想像してみるのもひとつの方法です。無理なく、安全に取り付けを進めるためには、自分の手に負える範囲を冷静に見極めることが一番の近道です。




まとめ――後悔しないシステムキッチン取り付けの選択肢

システムキッチンの取り付けは、暮らしに直結する大切な工事です。自分でやれば費用は抑えられますが、そのぶんリスクや手間も増えます。水平や配管といった基本の部分で失敗すれば、日々の生活に支障が出るだけでなく、追加の出費にもつながります。一方、業者に任せれば、確実かつ短期間で作業が終わり、保証もつくため安心感があります。


どちらを選ぶかは、自分の経験や時間、家族構成なども含めて総合的に判断することが大切です。大掛かりな工事ほど、慎重な判断があとあと後悔しないポイントになります。