毎日使うキッチン。調理中にレンジフード(換気扇)で頭をぶつけてしまったり、逆に背伸びをしないとスイッチに手が届かなかったり。そんな小さなストレスを感じたことはありませんか。実はそのお悩み、レンジフードの「高さ」がご自身の体格やキッチンの環境に合っていないことが原因かもしれません。レンジフードはただ煙を吸い込むだけの設備ではなく、その高さが日々の調理のしやすさや安全性、さらにはキッチンの見た目の印象まで左右する、とても重要な要素なのです。低すぎると圧迫感があり、調理の邪魔になるだけでなく、火災の危険も潜んでいます。かといって高すぎると、煙を十分に吸い込めず、お部屋に臭いや油が広がってしまうことも。この問題を解決するためには、ご自身の身長に合った使いやすい高さと、法律で定められた安全な高さを両立させる「最適解」を見つけ出す必要があります。ポイントさえ押さえれば、驚くほど快適で効率的なキッチン空間が手に入りますよ。これから、その具体的な方法を一緒に見ていきましょう。
知っておきたい基本ルール。消防法と建築基準法が定める「高さ」の基準とは
レンジフードの高さに、法律上の基準があることをご存知でしょうか。これはキッチンの安全と快適さを守るための大切なルールです。主に「消防法」と「建築基準法」という二つの法律が関わってきます。まず、消防法は、キッチンでの火災を防ぐことを目的としています。調理中にコンロの炎がレンジフードのフィルターに付着した油に燃え移る「引火」を防ぐため、コンロの天板(調理台の表面)からレンジフード本体の下側まで、最低でも80cmの高さを確保するように定められています。これは、万が一の事態から命や財産を守るための、絶対に守らなければならない基準です。一方で、建築基準法では、調理中に出る煙や蒸気、臭いを効率良く屋外に排出するための「換気」の観点から、逆に高すぎないように上限が設けられています。具体的には、コンロから100cm以下の高さに設置することが推奨されています。この範囲を超えて高く設置してしまうと、吸い込む力が弱まり、換気能力が低下してしまう可能性があるのです。このように、二つの法律が定める基準を両方満たすことが、安全で快適なキッチンづくりの第一歩となります。
「身長÷2 + 5cm」が黄金比?今日から使えるベストな高さの計算方法
法律で定められた「80cmから100cm」という範囲の中で、ご自身にとって最も使いやすい高さを見つけるにはどうすればよいのでしょうか。ここで一つ、目安となる便利な計算式をご紹介します。それは「ご自身の身長 ÷ 2 + 5cm」というものです。例えば、身長160cmの方であれば「160 ÷ 2 + 5cm = 85cm」となります。この85cmという高さが、コンロの天板からレンジフード下側までの推奨距離の目安です。この計算式は、調理中にレンジフードで頭を打ちにくく、かつ、操作パネルにも手が届きやすい高さを導き出すための、一つの「黄金比」とも言われています。身長155cmの方なら約82.5cm、165cmの方なら約87.5cmが目安となりますね。もちろん、これはあくまで一つの考え方です。ご家族でキッチンを使われる場合は、主に料理をされる方の身長に合わせるのが一般的ですが、ご夫婦で身長差がある場合などは、お二人の中間の身長で計算してみるのも良いでしょう。まずはこの計算式でご自身のベストな高さを把握し、それを基準にしながら、ご家庭の状況に合わせて微調整していくのがおすすめです。
キッチンの種類やコンロによっても最適解は変わる
ご自身の身長に合った高さを把握したら、次にご自宅のキッチンの種類にも目を向けてみましょう。実は、キッチンのレイアウトによって、煙や油の広がり方が変わるため、推奨されるレンジフードの高さにも少し違いが出てきます。例えば、コンロの前に壁がある「壁付けキッチン」の場合、煙は壁に沿って上昇するため、比較的捕集しやすくなっています。そのため、計算で出した高さよりも少し高めに設定しても、換気能力を維持しやすいと言えるでしょう。一方で、壁から離れた場所にコンロがある「対面式」や「アイランドキッチン」の場合は注意が必要です。煙が四方に広がりやすいため、できるだけ低い位置(ただし消防法で定められた80cm以上は確保)に設置する方が、煙をしっかりと捕集できます。また、お使いのコンロの種類もポイントです。ガスコンロは上昇気流が強く発生するため、煙が勢いよく上がります。一方、IHクッキングヒーターはガスコンロほど強い上昇気流は起きません。そのため、一般的にIHの場合は、少し低めに設置した方が効率的に換気ができるとされています。ご自身のキッチン環境をよく観察し、最適な高さを探ってみてください。
プロはここを見ている!後悔しないための最終チェックポイント
高さを決める際には、数字だけでなく、実際の使い勝手や日々のメンテナンス性まで想像することが、後悔しないための秘訣です。プロの業者が設置を行う際は、ご家庭ごとの細かな状況まで配慮して、最適なプランを提案してくれます。例えば、まず確認したいのがレンジフード本体の「奥行き」です。コンロの奥側のバーナー(火口)まできちんと覆える奥行きがないと、奥で調理した際の煙を吸い残してしまいます。また、意外と見落としがちなのが操作パネルの位置。せっかく高さを合わせても、パネルが奥まった場所にあって操作しにくくては意味がありませんよね。さらに、フィルターや整流板(せいりゅうばん)といった部品に楽に手が届くかどうかも重要です。高すぎると、お掃除のたびに椅子や踏み台が必要になり、だんだんと面倒に感じてしまうかもしれません。20年以上の実績を持つ株式会社トリムサービスのような専門家は、こうした日々の使いやすさやお手入れのしやすさといった、暮らしに寄り添った視点まで含めて提案をしてくれます。
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最適な高さで、毎日の料理をストレスフリーに。理想のキッチンを実現するために
ここまで見てきたように、レンジフードの高さは、法律による安全基準と、ご自身の身長やキッチンの種類に合わせた使いやすさ、この両方のバランスを取ることで「最適解」が見つかります。ほんの数センチの違いが、日々の調理の快適さを大きく左右するのです。ご自宅のレンジフードが「なんだか使いにくいな」と感じたら、それはキッチンがあなたに送るサインなのかもしれません。専門家が一つひとつの仕事に「誠実で真心をもって」向き合うように、私たちも日々の暮らしを支える道具に丁寧に向き合ってみませんか。ご自宅のレンジフードについて、専門家の視点から具体的なアドバイスが欲しいと感じた方は、一度プロに相談してみるのも良い方法です。毎日立つ場所だからこそ、ストレスのない、心から料理を楽しめる空間づくりを目指したいものですね。